中学校に入ってみて、
本当に夏休みの宿題の多さに愕然としました。
高校生のエリザベスお姉ちゃんに言わせると、
「高校では、先生たちが職員会議で、宿題の量のバランスを推し量ってくれるから、
ひとつの科目だけ負担が大きいという事はないけどね。」
らしいのですが、
小学校時代のそれと比べて、宿題にも個性があるんだなぁ、というのが、
親として、宿題の総量を見渡して思う事です。
パンダは卓球部なので、お盆ウィーク以外は全て部活が朝から弁当持ちであって、
週3回は、夜に塾もあります。
塾で、夏休みの宿題をやってもらえたらいいのに、と思ってしまうけれど、
そんなわけにはいかない。
16日金曜日から、エリザベスお姉ちゃんは4泊5日で、合宿です。
パンダは、それが終わるとまた部活&塾の日々が続くので、
この期間は、パンダも一人っ子待遇で、宿題教科週間となるべく、
スケジューリングをしてあったわけです。
まず、美術を片付けます。
学校に掲示する標語と絵を描くのですが、
「北極のシロクマが、地球温暖化で氷山が少なくなっていて、仕方がないので、泳いで移動をしていて大変だ。」
という映画「アース」で見た映像を胸に「自然を大切に」と、描いていました。
次に、家庭科です。夕食を作る家庭をレポートします。
大好物の鮭の塩焼きがメイン。
簡単すぎて、評価が心配です。
さて、残る大物が、
「百人一首を50部覚える」
「理科の自由研究」です。
その他も、いろいろとあるのですが、部活の余り時間にも少しずつ進めているようなので、強化月間からは外してあります。
*
お姉ちゃんが合宿に出発した朝、
朝食を食べながら、パンダと自由研究について話し合っていました。
それで、今の案としては、
「ダンゴムシかなぁ〜」
というので、この暑いのにダンゴムシはいるのだろうか?
と、せっかくなので、虫繋がりで、多摩動物公園の昆虫館にも行ってみて、宿題のヒントを掴もうという事になりました。
パンダは、着替える時に、いつもは愛用している「虫除け成分入り靴下」を避ける事を高らかに言っています。
「昆虫館に行く時に、虫よけバンドやスプレーをしていく人がいて、
虫が困っているらしいよ。」
そんな様子をそばに、私も短パンでボーイスカウトの人みたいな出で立ちになっていました。
お盆なので、バスの時刻を確認しようと、出掛けにPCを開くと、
と、あったので、思わず見てみると、
なんと!
ナイトスコープ使用の人気のステージ2が、
夏休み中に、今日だけ奇跡的に空席がある。
パンダにちょっと、その事を言ってみると、
「い〜ね〜」
というので、
行き方とかあんましわかんないけれど、
もちろん、(運転が苦手なので)車じゃないけれど、
「じゃ、遠出だから、温泉に入るかもだね。」
と、いつものように、パンダのショルダーバックに、二人分の替えのTシャツ、パンツ、靴下の最低ラインの服を小さく畳んでいれました。
とにかく、バスの時間だけは決まっているので、
私はウェストバッグのみ、パンダはショルダーさげて出かけました。
パンダと出かけられるチャンスが夏休みはじまってからなかったので、
今更なのですが、制服の直しに立川の学生服屋に寄りました。
ミッションを終えると11時。
立川から中央線で八王子、八王子から横浜線で町田、町田から小田急で厚木よりも先の新松田まで行きました。
お昼がまだだったので、松田で済まそうと思ったら、
とてもとてもローカルな場所だったので、コンビニでおにぎりを買って、
JR松田駅のホームで食べました。
本数が少ないので、30分くらい待って、やっと2両編成の沼津行きがきて、
御殿場に着いたのが、1時半くらい。
バスのチケット売り場にいくと、
「富士サファリ行きの路線バスは、次は2:55ですね。ナイトサファリに行くなら、帰りはもう路線バスはないので、タクシーになります。」
と、情報をもらい、マクドナルドもスターバックスも、スーパーもない御殿場駅周辺で、1時間半ほど時間を潰す事になりました。
*
ここまで行き当たりばったりなのですが、
車中で楽天トラベルでホテルまで取ってしまっていました。
駅から歩いていけるビジネスホテルまで、
チェックインはしないけれど、歩いて行ってみました。
帰りのタクシーに提示できるように、パンフレットももらいました。
さて。
ここで一番しなければいけない事は、
服装をバージョンアップする事です。
パンダは長ズボンに、冷房よけに長袖シャツがいつもバッグに入っているから良いとして、私のショートパンツが心もとない。ヨーカ堂みたいなところで、買えたらよかったのですが、あいにく洋品が買えそうなところが駅前になかったので、コンビニで、バスタオルと、レギンスを買いました。
車中で、iPhoneで周辺の地図を調べた時に、
「ファッションプラザ」という建物があって、とても期待していたのですが、
全部飲食店とカラオケでがっかり。
富士サファリのお土産用のアフリカンな洋服を買って寒さをしのごうかとも思ったのですが、売ってなかったら大変なので、ここで買っておいて良かったです。実際に、長袖Tシャツも、バスタオルも取り扱いはなくって、ナイトサファリのお客さんたちは、皆軽装だったので、「寒い、寒い」と言っていました。
*
バスが到着しました。
皆、外国人ばかり。
日本人は、富士サファリには、たいてい車で行きますよね。
1時間に1本あるかないか、というバスに乗るという選択肢は、
ないよねぇ〜。
私が運転が苦手なばっかりに、息子パンダは、沖縄の美ら海水族館にも、バスを何本も乗り継いで半日かけて行ったりしています。
でもね。
世界標準でいったら、そんなのは当たり前で、時間通りにバスがくるだけマシだと思うのです。パンダも慣れているので、文句も言わずに、バス停で立ちながら、コンビニで買ったお菓子とかをボリボリ食べて待っています。
ま、経験って事でいいよね。
だって、ママは、添乗員じゃないからね。
それで、
35分かけて路線バスは、富士サファリにつきました。
昼の部のバスは予約をしていなかったけれど、間に合ったので、50分かけて一周してきました。
前に、家族で車で来たときは、マイカーだったために、「餌やり」ができなかったので、初体験できました。ライオンさんに、鶏の手羽をあげると、バリっと骨を砕く音がしました。解説が聞けるのも、バスの魅力です。ライオンの群れを普通に、「プライド」と言っていて、「ほんとに言うんだ」と、ライオンキングかぶれの私は思いました。
シマウマの群れを見たカテゴリーから、かなり遠ざかって、一般草食動物ゾーンのゲートの近くに、いじめにあっていて、傷だらけになって、ひとりで暮らしているシマウマがいました。
パンダは、シマウマが、毛を刈ると黒くなる事は知っていましたが、文様が一匹ずつ違って、指紋のような識別が可能という事は、初耳だったそうで、印象に残ったようでした。
「これ、自由研究のテーマにいいんじゃね?」
と、ギャルのような口調で提案してみましたが、
「ママ、すぐそういう風に言うのやめてくれない。もう、今日は、趣味でここに来たんだからね。宿題、関係ないよ。」
へ?
宿題に直結しないのに、私はここまで連れてきてしまったのか、と膝ガクでしたが、
「じゃ、ママは、ここに何のためにボクを連れてきたの?」
というので、
「パンダの夏休みの思い出づくりです。」
と、答えると、
笑顔で頷かれました。
水族館は、今までたくさん見て来て、
昨夏にフロリダで「アニマルキングダム」の「キリマンジャロサファリ」を体験して、今度は動物にも興味があるようなのです。
バスを降りて、園内の食堂で食事。
家を出てから、はじめてのちゃんとした食事。パンダは二人分とケーキを注文していました。
食事が終わると5時半になったので、
ネット予約をしたナイトサファリステージ2を発券してもらい、
ナイトサファリの時間中、夜間開園しているゾーンをブラブラ歩きました。
「イヌ」と、「ネコ」と、「ウサギ」に触れる館は、それぞれ500円課金されるため、選択制という事にすると、パンダは、「ウサギ」を選択。
好みのウサギを選んで膝に載せてもらい、顔が緩んでいます。
顔、緩みっぱなしです。
息子よ、夏休みの思い出がつくれて良かったねぇ。
この後、
カンガルーが出てくるアトラクションがあって、
池で泳いでいるゴマフアザラシを見たら、
もう、やる事がありません。
2時間くらい、屋外のベンチでひたすら座っていました。
でも、息子との二人旅で気楽なところは、ただ黙っていてもお互いに気にしないので、実に静かに、それぞれDSをしたり、昼寝をしていたりできるのです。
*
急に泊まる事になったので、携帯も充電器を持ってきていません。
iPhoneは、合宿に行っているお姉ちゃんの緊急連絡があるかもしれないので、
電源をオフにして温存しておく事にしました。
「ママのお婆ちゃんのヒサコさんはさぁ〜。
今のママと僕みたいに、ふらりと泊まっちゃう事ってあったんでしょ。」
パンダが夜風に吹かれながら、懐かしい事を思い出させてくれました。
母方の祖母のヒサコさん(ソプラノ歌手手塚久子)は、戦時中は、慰問ツアーで大陸にも渡って演奏活動をしていたというバイタリティーのある旅人だったので、
初孫の私を連れて、ふらりと箱根に行き、パンツも持たずにそのまま泊まってしまう事がよくありました。
パンダには、今までも帰れなくなりそうな感じの時に、いつも言っていたので、
「今日がまさに、その日なのか!」
と、思ったみたいです。
最終電車がとまってしまう場所からのタクシー代と宿泊費がどっちが高いか?
が、判断の目安だね、と、話して決めました。
*
今回は、私の事前の下調べができていないで、富士サファリ界隈のバスや電車がそんなにないという事を知らなかったので、本当に泊まる事になってしまったけれど、パンダと私の二人の遠出は、いつでも温泉に入れるように最低限の着替を持ち歩いています。
パンダも、いつまでも母親と出歩いてくれる訳ではないと、いつも思っているので、貴重なチャンスだったのかもしれませんね。
さて、待って、待って、待ちきれなくて、せっかくだから30分も前から、バスの停留場所に陣取って、1番さんを狙う事にしました。
その場所から、iPhoneでタクシーを予約。ちょうどサファリが終わった頃に、迎えにきてもらう約束をとりつけました。御殿場からタクシーを呼ぶと30分かかるのに、180円のお迎え料が加算されるのみだそうです。これは、予約しておいて本当に良かった。
*
ナイトサファリへのテンションは、なんだかディズニーのようです。
ハイテンションで、出発の時には、みんなで手を降ったりします。
送り手側としても、本当に面白いと自信を持っているコンテンツなのでしょうね。
車両に乗り込むと、落とさないようにナイトスコープを首にかけてもらえます。
この扱いがとてもデリケートなので、小学生以上が対象のツアーです。
パンダは、このナイトスコープが、本当に嬉しいらしく、
私の扱いが間違っていないか、ちょくちょくかまってきます。
動物たちは、夜の方が本当の姿を見せてくれると、
聞いてはいましたが、本当でした。
チーターなんか、孤高のイメージですが、
数匹で集まって、井戸端会議をしているようなざわざわ感があったり、
トラも、すごく活き活きして、歩きながら跳ねたりしてご機嫌な様子が、
なんだか「絵本 ちび黒サンボ」と違うなぁ、こんなに陽気でいいのかな?と、思いました。
反対に、キリンさんは、お休みモードで、足を折って休憩中。
面白いです。本当に。
裏表がこんなに動物にあるとは!です。
しかし、一番、楽しいのは、夜のドライバーさんです。
昼間のバスは、一般のマイカーもいますから、ずっと渋滞状態だけれども、
ナイトサファリは、目的のポイントまで、ヘッドライトも付けずに滑走していきます。
「お姉ちゃんにも味あわせたいよね。このスピードね。」
と、ジェットコースターが好きな姉を気遣う弟パンダ。
気になっていた、ひとりぼっちシマウマは、
夜もやっぱりひとりぼっち。
こちらは、夜だけに、よりいっそう心細そうでした。
次に行く時、一番、気になるポイントとなりそうです。
*
50分のナイトサファリが終わり、
約束の時間を少しすぎてしまったので、
走って、指定したバス乗り場まで行くと、
タクシーの運転手さんが歩いて迎えにきてくれているところでした。
予定通り、
ホテルのパンフレットで行き先を告げて、
無事に到着。
チェックインも「楽天」でスムーズに終わり、
部屋に行く前に、パンダが、
「あ、ママ、自動販売機でカップヌードル買って!」
と、夜も10時を過ぎているというのに、これからラーメンを喰うというのか!
とびっくりしました。
お湯をわかしたところで、ビジネスホテルなので、割り箸が部屋にない事に気付き、パンダが一人でフロントにもらいに行く事になりました。
あまりに帰りが遅いので、部屋の番号でも忘れたか?とドアを開けて様子を伺うと、心細そうに、廊下をうろいているパンダを発見。
割り箸だけを手にもって、いかにも自分は、
不審な人物ではありませんをオーラで一生懸命出そうとしている。
どこからどうみて、
割り箸をもらいに外に出て、部屋に入れなくなってしまった哀れな中学生です。
そういえば、パンダは、今回は財布を持ってきていません。
夏休み中にマンガを買って、無一文になったので、スイカを私に預けて、空の財布は置いてきたのです。
携帯は、部屋のバッグの中。
そりゃあ、心細かろうに〜。
「部屋の番号知らなかった」
そうでした。(覚えとけ!)
彼が新婚旅行に旅立つ前に、いろいろ旅で役に立つ男に仕上げないとね。
未来のお嫁さんに迷惑はかけられないなぁ〜とも思うのでした。
ホテルの部屋にて、
「ハリーポッター」を見ながら就寝。
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