« 素晴らしい車 | トップページ | フロリダ州オーランド »

ぺとらの新世界旅行と長い長い物語

随分と時が経ってしまいましたが、6/30に大型紙芝居として劇のみ上演をした『ぺとら』新世界旅行は、7/17に西麻布の新世界にて、無声映画との対比を含めた完全版として上演しました。

ジョルジュメリエスへのオマージュとして、考えてみれば昨年の3/27からずっと頭にあった「何故、私はこの世界感がこんなにも好きなんだろうか?」
の答えを探しての試行錯誤のオンパレードだったのだと思います。

この思いは、同じ会場新世界2011.3,27に芽生えます。
震災直後、下北沢440での親子イベント出演を終えた楽団ぺとらの三人。
いろんな思いのあった公演だったので、今日はこのまま解散せずに皆で喜劇映画研究会「旋律は笑う」にて、無声映画をみようと立ち寄ったのです。

バブル期が青春だった私は、世の中はいつも発展進化を続けていけると、鉄腕アトムのような未来が約束されていると信じていた。

大げさにいうとすべての社会システムに大丈夫?と思った震災後の薄暗い都会の光景を歩きつつ、映画の中の1900年代の世界は、私の心臓の鼓動と同じスピードで喜怒哀楽を投げかけてくれた。

その時、全部が伝わらない楽しさが解った気がした。

丁度、園では計画停電時の過ごし方として、お話をつくる活動に着目していた。
でも、少しでも辻褄があわないことを発見すると、茶々を入れるこがいる。それを怖がって想像力の扉が開かれない事を感じる。

うそこの世界

私の少女時代の得意技だ。
うそこにね、と言えばお姫様でもロックスターでもごっこができた。

でも、今でいう家族ごっこはリアル世界だ。お母さん役の子はイトーヨーカ堂に行き、犬役が人気だ。

震災後でこども番組も放映が見送られているなか、紙芝居を読んだり保育をして、うそこの世界の語り方を考えていたのだ。

新しい年度2011になり、喜劇映画研究会の新野代表に、園児のためにメリエスの月世界旅行と音楽狂を上演してほしいとお願いした。

ここで、こんなご時世だから、座布団一枚の力を感じ取れる落語をとの声もあったけれども、この年度を運動会、バザー、観劇会、作品展、リトミック参観を含めた繋がる保育ということで保護者の皆様の同意を貰った。

しかし、こんな時期だから無声映画、しかもメリエスというのは、我ながらマニアックな園長かなぁと思っていたら、後にヒューゴの不思議な発明、アーティストと立て続けに無声映画やメリエス自身を取り上げた作品が評判となり、世間が追いついてきたような錯覚さえあった。

うそこの世界、
月世界旅行で言えば、重力とかを無視したSF展開。
悪者かどうかわからぬがやっつけてしまうチャンバラ感。
そして、魔法使いがローブを脱ぎ去り、科学者になるという大好きな象徴的なシーン。
何故だかリズム、フレーズを感じる音楽的な映像展開。
メリエスから湧き出るメッセージはあふれている。

まずは、
園児たちにうそこを教えた。
うそこだから、想像で何でもいいから宇宙人をつくろうというのが運動会のテーマでミッション1。
ミートボールが好きだからミートボール星人など、見事に応えてくれた。
お遊戯では、それを衣装にしていただいて、架空の宇宙のお辞儀を振り付けた。これがぺとらの新世界旅行では、倍音のファンファーレとなり、劇中でも重要なスパイスとなっている。
月世界旅行では、お辞儀のできないセレナイトは野蛮人として征伐されてしまうからだ。


ミッション2は、パーカッショニストの渡辺亮さんにオリジナル楽器の命名をしてもらうことから始まった。「びょびょびょんびょん」の誕生だ。園は農家でもあるので、ひょうたんは、園児数分用意ができた。試作をかさね、年長はスチール弦、他はナイロン弦のビリンバウのような楽器ができあがった。うそこの世界の土台ができていたので、色つけに自分のストーリーを言う子もいた。この楽器を映画上映時に園児が楽士として参加することとした。

ミッション3.ミッション4は、「ぺとらの月世界旅行」という音楽劇の制作だ。
前者は、ぺとらのバグパイプ近藤さんとガムラン、ピアニストの福澤さんと三人でこどもの城公演として。後者は、園でバザー開催で職員劇として行なった。
内容は、月世界旅行の世界観でのお子様音楽クイズショーなのですが、月に大砲が刺さるなどのメリエスへのオマージュが込められています。
両公演は、月のサーカス団長をバグパイプ近藤、ウリ先生。
月をガムランたっちゃん、ウミコ先生。
魔法使いは、城公演では私、ウキコ選手と、
それぞれの仲間たちが最高の役目を果たしてくれました。
特に、月は双方に人生の味があり、絶品です。

そして、本番。
渡辺亮さんをパーカッションに迎えたその日には、奇跡がたくさんおきました。
その中のひとつ、音楽狂では私もピアノで参加したのですが、それでこの映像が教えようとしていることが、私が幼少から慣れ親しんでいた讃美歌と気づきます。素敵な音楽との一致で、この後、新野さんから、ぺとら版のリクエストも頂く栄誉となりました。

その後にミッション5.ミッション6・ミッション7は『ぺとらのマンドラゴラ』という「月世界旅行」のスピンオフを目標とした新しいストーリーの紙芝居です。
5は、息子パンダの5-1のクラス読み聞かせとして、パンダを相棒に。
6は、リトミック参観として、それぞれのクラス担任を相棒に。
7は、ぺとらの近藤さんとパーカッションつるさんを相棒にして上演した。
ストーリーや絵の順番は、それぞれ対象によって変わるところが、やっていて面白いところ。
年長のリトミック参観では、映画に合わせての楽士体験をした園児が複数の楽器をかけもちして音効を担当しました。これ、複数がミソなんですよ。一個だと、こどもだましになるからです。6歳のプライドにあった活動でした。
7ぺとら版では、劇部分を追加。つるさんがパンデイロと一体化した機会人間になるサブストーリーを加えました。

ミッション8は、作品展。渡辺亮さん命名の楽器びょびょびょんびょんを真ん中に、びょんと音のするものたちを製作しました。

そんな保育との密接な連動でメリエスの作品、世界観とむきあって一年ほどたつと、私の専門としているリトミックと時代的に近いこともあり、共通点や、私が共通して好きな点なども見えてきました。

そして、物事を考えるには膨大な時間が必要という、とても大事なことにも気づきます。


せっかくなので、最後のミッションとして、大人向けの大きなステージをし掛けることとしました。
劇のみを本邦初演として、紙芝居仲間の初代ピアノ屋岡野勇仁さんに声をかけ、ユッキーさんという人気者で元気なシンガーさんと共演となりました。「紙芝居チャチャチャ」
そして、新世界では、喜劇映画研究会の活動休止前興行となってしまいましたが、お力添えをいただき、無声映画の楽士演奏と、オマージュした劇の二本立てという企画を快諾していただきました。

無声映画ファンなら、映像つきコンサートを堪能できれば充分と思われるでしょう。いや、むしろ劇は余計かもしれない。しかも、俳優ではないミュージシャンが演じるのです。未熟な発声、滑舌なことでしょう。
でも、もし、いまメリエスが生きていて、私たちの仲間だったら、こんな風だと思うのです。
君はパンデイロが大好きなんだね。だったらこんなストーリーはどうだろう?
お辞儀は秩序の象徴だね。とても大切だよ。
カメラを手で廻すとき、誰かにリズムをとっていてもらうと助かるな。

ピクサーアニメのように、複数の脚本チームが伏線をひいて興行収入を手堅いものにしようとするような勢いではなく、
みんなのことをよく知っている親方が、それぞれの良いところを引き出す物語と映像をつくっている。ほら、愛が感じられたでしょ。

そんな工程を辿ることが、メリエスへのオマージュと思ったのです。
メンバーを愛するバンマスは、幼稚園の園長で二人 のお母さん。この子には、これをさせたい愛は、いつもやっていることです。

映像では、メリエス以外にもキートンのデブの厨房のシーンを取り上げました。

これは、リズムのプロとして、絶対にマッチする音楽の速度が映像から導き出せることを発見したからです。音楽の展開と同時に場面も変わるのは、フレーズが等しいカメラ割りだからでしょうね。

月世界旅行では、大砲鋳造シーンでは、鍛冶屋が2拍子、俄かに科学する全体感を5拍子に。
セレナイトは単体では口琴、団体ではジェンベ。
セレナイトの王宮では京劇風に。
ファンファーレやラッパは古楽器で忠実に。
そして、
最後のフィナーレでは、歌詞つきで賛歌です。これは、街の人々の視点で描きました。メダルを賞与されたこと、こんなに大きく扱ったのは、やはり古今東西の価値観に思いをはせるぺとらの得意技でしょう。

メリエスというお題をいただいて、私の脳もだいぶうそこを創作することに慣れてきたようです。おかげで成長できました。

実に先生らしい舞台の取り組みとして、
演奏者それぞれのバックグラウンドコーナーももうけました。
リトミック、パーカッション、
ガムラン、リトミックのプラスティック、古楽器。


なんだか授業のようだった楽団ぺとらの夜の学校には、
授業参観として、妖精の国の歌姫と喜劇映画研究会の総帥も姿を見せてくれました。懐かしい友や、音楽仲間たち、卒園された保護者様、、、
私の大切な人々が、ここぞだと集まってくださった。

そして今、
たくさんのミッションを振り返りつつ、
次の今の年度2012の運動会の企画を錬っています。

うそこの世界
で自由自在に翔べるようになったので、
今年はアンテナに注目する年にしました。
お金で買えない自分にとっての大事なことを見つけるのが、
園児全員の夏休みの宿題です。

ぺとらの歌の中にある世界
魔法と科学が混沌としたSFで中世の香りがする世界観が、
私の好きの源、アンテナです。


そして、それを伝える方法として、
ぺとらとしての外部公演もからめつつ構築していきたいテーマは、
メリエス先生の音楽狂が伝えようとしていた音楽のイロハ。
これをリトミック的に展開してみようではないかと、
ほくそ笑む、
そんな終演後の考える時間の日々を過ごしています。

在園のみんな、今年も引っ張ります!
よろしくね。
ぺとらを応援してくださっている方々、
まりりんワールド、お楽しみに!


追記

宇宙的なSF展開のルーツは、意外にも私の母が幼少時に寝かしつけに話してくれた創作話だと、母が断言してきました。
アキレッタとマリーナの冒険シリーズ は、弟よしあきと姉真理のきょうだいが宇宙やジャングルを冒険する適当な物語でした。辻褄を子どもがつっこむような物語です。でも、今でも、お話の始まりは脳内で紙芝居のタイトルのように記憶で蘇ります。母に感謝。やはり、私の元なのでした。


iPadから送信
560902_202488296547056_1068636982_n

20120702161758


|

« 素晴らしい車 | トップページ | フロリダ州オーランド »

リトミック」カテゴリの記事

ぺとら&外部活動」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ぺとらの新世界旅行と長い長い物語:

« 素晴らしい車 | トップページ | フロリダ州オーランド »