独楽まわしとお相撲大会
昔、昔のコドモルール
幼稚園では、今日から「幼稚園場所」のお相撲への取り組みが始まりました。
景気付けに、理事長先生が得意の「独楽まわし」を披露してくれました。
小さい独楽、大きい独楽、べーゴマは大きなお皿の土俵で廻してみせてくれました。
全部、全部、ちゃあんと紐で廻す独楽です。
ブン、ブンと音をたてて、独楽と独楽がぶつかりあって戦う様子は、
今の子供たちはテレビアニメの「ベーブレード」でしか観た事ないかもしれませんね。
しかも、それはピストルのようなおもちゃで誰でも簡単に廻せるものですよね。
紐でやる独楽は難しいもの。引いて廻す瞬間は、独楽が一瞬自分の身体にぶつかってしまうのでは?と思わせておいて、ひらりと地上に降り立ち、後はけなげに力つきるまで自ら廻りつづける。
こどもたちは、みんな目を丸くしてみていました。
そんな時。
お爺ちゃんの理事長先生は、こんな不思議な事を言い出しました。
「昔はね。こうやって独楽で戦って勝つとね。負けた方のがもらえたんだよ。」
こどもたち、いっそうどよめきます。
「もらえるんだって!勝ったら無料でもらえるんだって!」
その後、ぶつかったりして最終的に自分で廻らなくて止まった方が負けという説明をしてくれましたが、
こどもたちに、この「勝ったらもらえるメンコ形式」の昔の子供ルールはどう映ったんだろうなぁ。
ちょうど、私がこどもの頃がボーダーだったと思います。
だって、小学校1年生の時、禁止になりましたもの。
「メンコ遊び」が。
「メンコで、強いメンコ(大きくて写楽みたいな絵柄)を持っている子が次々とみんなのメンコをとってしまって、他の子がメンコを全部取られてしまうくらいだった。しかも、そのメンコは、裏に蝋みたいなものが塗ってあって、重さも重ねてあった。裏に金属を貼る行為はとっくに禁止されていた時代です。
そんなわけで、四十路のまり先生にとっても、「勝ったらもらえる」という世界は未知だなぁ、
と思いながら「昔、昔のガキ大将ライフ」に思いをはせているまり先生でした。
「勝ったらもらえる」
改めて、昭和ってすごいね。
その後、微笑ましくこどもたちが真っ赤な顔をして全力を出し切る「お相撲」の取り組みに、
大笑いしつつ、これはやっぱり保護者様には「非公開」にして良かったなぁ、と思っていました。
この「お相撲大会」の行事は、以前は公開行事でした。
白熱のあまり、爺ちゃん婆ちゃんまで観覧席を埋め尽くし、
ママたちは取り組みをビデオ撮影を完璧にしていました。
父ちゃんは、取り組みがはじまると、毎晩布団の上で技を伝授して、
「猫だまし」のような珍技が、幼稚園の土俵でも登場するようになりました。
「先生の行事では、うちの子が負けたとなりましたが、家でビデオ判定をしてみるとやっぱりうちの子が勝っていました。」
と、放課後の職員室に電話がなります。
前の晩、「絶対勝ってこい」と言われた子は、負けてしまうと「お父さんに怒られる」という理由で泣いてしまいます。
一体、何のための相撲大会なんだろう?
もともと、ゲーム、バーチャルの世界ではなく、本当の力を出したらどれくらい痛いかという「力を出し切る」という体験をする事が目的で設定された保育行事です。
そういえば、保護者さんたちが「勝ち負け」について、こだわるようになったのも、私と同年代の保護者さんたちからのような気がしています。
以前は、「勝っても負けてもがんばった」という事はみんな当たり前のように受け止められていて、新米の先生が行事で判定に迷うと、
いなせなお爺ちゃんがすくっと立ち上がり、
「ものいい!」
と、しきるのを助けてくれたもんです。
だからね。
今は。
「誰が勝って、負けた」
というのは1回勝負ではなく、何回も何回も設けています。
そして、コドモたちが本当は負けたのに、「勝った」と家で報告したときには、
先生たちはあえて否定もせず、
そうゆうことにしておく事もあります。
独楽名人の理事長先生のお話を聞いて、
ふと、そんな事がらがつながった今日でした。
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